野球の記録について、これちょっとおかしいんじゃねーか、と思うことがありまして。
それは、日米通算記録の扱いについてです。
ちょっと、ないがしろにしすぎじゃないですかね?!
なんか、せっかくメジャーに挑戦して、そこで記録を積み上げても、それ全然スポット当てられなかったりしませんか?
あまつさえ、ネット上の記事なり書き込みなりを見ると「日米通算には価値はない。一つのリーグの成績こそ価値がある」とかいう、それこそ真逆に間違った意見をさも「正義だ」とばかりにドヤ顔で書き込んでる知能指数の低い痴れ者を散見したりもします。
違うだろ!
日米通算記録こそ至高なんだよ!
そんな憤り、というか、まぁ当たり前のことなんですが、そういうことについて今回は書いてみたいと思います。
- 立浪の二塁打記録は実は第5位
- 日米通算記録から目を逸らそうとする風潮はおかしい
- 大谷、イチローと同じ目線を持っていたのはサッカー日本代表
- 日本の野球は「大リーグに追いつけ追い越せ」で始まったから
- 日米通算記録が尊ばれない一番の理由
立浪の二塁打記録は実は第5位
なんかね、色々と記録が語られる時、あれ?おかしーな、と思うことが結構多かったんですね。
例えば、通算二塁打の記録。それを破りそうな勢いの選手がいたんですけど、「このままのペースでいけば?年後には立浪選手の記録を抜くかもしれませんね」という説明があったりします。
まぁ、そりゃそうだ。でも、それだけならまだいいんですけど、「イチロー選手の日米通算記録までは?」的なことまでの言及がないんですね。
ちなみに、日米通算にすると立浪和義の記録は2位ですらないです。イチローに続くのは松井稼頭央、福留孝介、松井秀喜。日米通算にしちゃうと5位なんですね。
それなのに、そこで話題を止めちゃって、その先にある現実にまで言及しないんです。
それってどうなの?って思います。
だって、その上位四人は現実に、より多くの二塁打を打ってるんですから。それをリーグが違うからといって「なかったこと」にしちゃうのはどうかと思います。
もちろん、それはちょっと言い過ぎかもしれないけど、そういう風に見えてしまうというか。
何て言うかな、目を逸らしているように見える、というか。
日米通算記録から目を逸らそうとする風潮はおかしい
何て言うんでしょうねー、メジャーリーグについてはなるべく触れないでおこう、という意識みたいなのをすごく感じます。
でも、そういう態度って、恥ずかしいと思うし、そもそもプロ野球の歴史みたいなものから言ってもおかしいと思うんです。
WBCができた今の時代、もう日本国内だけで論じるようなものではなくなったんですね、野球というスポーツは。
ドミニカ、プエルト・リコ、ベネズエラ、カナダ、オーストラリア、台湾、それからチェコ! あと韓国とか。
それぞれにグラデーションはあるけど、結構盛り上がってる。
そして、その頂点に立つのが、もちろんアメリカ。
そのアメリカの野球リーグがメジャーリーグなわけです。しかも今やメジャーはアメリカ一国とすら言えない状況です。上に挙げた各国の猛者たちが次々参入し、しのぎを削る、いわば世界リーグとなっています。
つまり、そこでの記録というのは、トップレベルの記録、世界最高の選手たちが集う、世界最高のリーグの記録なのです。
そんな世界最高のリーグでの記録は、はっきり言って、日本のプロ野球での記録よりも価値があります。同じヒット一本、奪三振一つでも、メジャーにおけるものの方が価値が上です。
それに、見てても、どう考えてもメジャーの方がレベルが高いですからね。
特に内野守備なんかは、もう日本よりも三十年くらい先を行ってるんじゃないか?と思うぐらい凄まじいですよね。
肩の強さは言うまでもなく、その身のこなし、創造性、全てが今の日本人内野手では到達できそうもないレベルに達しています。
それに実際、メジャーに行ったはいいけど通用しなかった選手も多いですからね。活躍した選手にしても、日本よりはだいぶスケールダウンしてしまっています。
逆に言うと、そんな世界でヒット打ったり三振奪ったりしているんですから、もっと日米通算記録を評価してあげて欲しいです。
それなのに、そんな大舞台で活躍した選手の記録を「なかったこと」にするなど言語道断。何度も言いますが、恥を知った方がいい。
大谷、イチローと同じ目線を持っていたのはサッカー日本代表
こういう、野球が世界的なスポーツになった中、「メジャーの記録には目を向けない」という内向きのドメスティックな態度は恥ずべきだと思います。
そこはもっとサッカー界を見習った方がいい。日本のサッカーは野球に比べてはるかにグローバルな視点を持っています。
年をまたいでサッカーW杯とWBCが相次いで開催されましたが、実は大谷と同じ視点を持っていたのはサッカー日本代表だったんですね。しかも選手からスタッフから全員。
大谷はアメリカ戦の前、「今日は憧れるのをやめましょう」と選手たちに釘を刺しました。ちなみにイチローも第一回WBCで同様の発言をしたそうです。
つまり、野球においては、大谷、イチローとメジャーでトップになった二人しか、世界という舞台と同じ地平でモノを見ることができなかったのです。
一方、サッカー日本代表。森保監督のインタビュー番組を見たら、全員が本気で勝つと思って試合に臨んでいたそうです。勝つのは自分たちの方なんだと、信じて疑わなかったそうです。相手がドイツであっても、スペインであっても。なぜなら、ブンデスなり、リーガなり、プレミアなりで、普段から世界を相手に戦っている選手が多かったからです。世界と同じ地平に立っていたわけですね。
つまり、サッカー日本代表は一人一人が大谷やイチローと同じ視点を持っていたわけです。
確かに野球は世界一になり、サッカーは決勝トーナメント一回戦で敗退しました。しかし、世界の中に身を置いていたのはサッカー日本代表の方だったんですね。
日本の野球は「大リーグに追いつけ追い越せ」で始まったから
ただ、日米通算ってそんなに大事なの?という考え方に、ある面では同意しています。
それは、アメリカからの視点です。
アメリカから見たら、日米通算記録はそりゃどうでもいいですよ。だって、メジャーの方がレベルが高いんですから。なんでわざわざレベルの低い日本の記録と合算して論じなくちゃいけないの?となります。
だけど、我々日本人はそう考えてはいけません。少なくとも、現時点では。
なぜなら、日本の野球は「大リーグに追いつけ追い越せ」で始まったからです。
だから、野茂やイチロー、大谷などなど、個人レベルとはいえ、メジャーに追いつき、そして追い越した選手たちの記録は、むしろ積極的に讃えなくてはいけないのです。
その意味では、日本でも日米通算記録に意味がなくなる時は来るかもしれないし、来て欲しいとも思います。
それはメジャーに追いついた時です。
そしてそれは、決して夢物語ではないようにも思います。
日米通算記録が尊ばれない一番の理由
そんな感じで、日本における日米通算記録の重要性を書いてきたわけですが、そんな僕でも、日米通算記録に及び腰になってしまうことはあります。
そして、おそらくは、実はこのことが公式にも日米通算に触れたくない、最大の理由でもあるかもしれません。
それは以下の理由だと思います。
めんどくさい。
これです。これこそが、日米通算が積極的に語られない理由だと思うのです。
では、何が、どうめんどくさいのか。
それが明らかになったのはアルフォンソ・ソリアーノの存在です。
ソリアーノは元々カープアカデミーの出身、つまり日本プロ野球の選手だったんですね。で、シーズンでもヒットを打っておりまして。でも残念ながら日本では鳴かず飛ばず。
しかしその後、メジャーの大名門・ヤンキースに移籍しまして、そこからの活躍は言うまでもないほどの素晴らしいものでした。
で、その素晴らしい活躍がまさかの事の元凶です。
メジャーで2,000本打っちゃったんですよね(「打っちゃった」っていう言い方はアレですが…)。
もちろん、前述したように日本でもヒットを打っている。つまり、日米通算2000本、名球会入りの条件を満たしてしまったのです。
メジャーのスーパースターにしてみれば、日本の名球会など魅力的なものには映らないでしょう。それに、日本では大して活躍していなかったのですから、今更日本の名球会と言われても、正直困惑を覚えたでしょうね。
そして、それを考えると、今までメジャーで活躍した後、日本に来た外国人選手の記録はどうするか問題が俄かに立ち上がってきました。
そうなってくると、名球会から何から公式の記録的なことは色々とめんどくさくなる。
だったら、シカトでいいんじゃね?ということで、今の流れになったような気がします。
ただ、さりとて、やはり日本は「メジャーに追いつけ追い越せ」ですから、やはり日本からの視点としては日米通算は大事にしていかなきゃいけないように思います。
じゃあその日本からの視点って、具体的にどういった規約を設けるべきなの?ということになるのですが、それは適当でいいんじゃないッスかね?