八月も末になり、メジャーリーグもいよいよ大詰めといった感じですが、今年は日本人打者の活躍が目立ちましたねぇー。
例年、日本人投手の活躍は目立つのですが、日本人打者の方はというと、なかなかにして残念な感じのニュースが多いのがここ数年の流れでした。
大谷はね、もちろん安定のスゴさなんですけど、それに加えて今年は鈴木誠也も好調です。8月に入ってからはもう絶好調ですね。去年とは逆の流れといった感じ。WBCで日本でも有名になったヌートバーもカージナルスのトップバッターとして定着した感があります。
しかし、今年は何と言っても吉田ですよ! 吉田正尚ですよ! すごいことになってますね!
ただまぁ、活躍は良いのですが、そうなると割と目立ってしまうのが、相も変わらずの日本のメディアは不勉強さです。
まぁ、良い面が顕わになると、それと共に悪い面も目立ってきてしまうというのは世の常なんでしょうねー。
とんでもないリトルリーガーw
先ずは吉田の今年の活躍をざっくり。
WBCの時、吉田は大谷についての印象を元同僚のラオウこと杉本に語っていたそうです。
「大谷ヤバい! 俺なんかリトルリーガーよ」
まぁもちろん、謙遜もあるんでしょうが、あの吉田をしてこうも言わせるという大谷のスゴさが如実に現れるエピソードですよね。一流は一流を知る、の典型的なエピソードではないでしょうか。
しかし、そんな自称・リトルリーガー吉田。とんでもないことになっています。
先ず、8月31日時点でのア・リーグ打率ランキング。第3位はその吉田が「ヤバい」と称した大谷がランクイン。毎年毎年ホームランを量産してきた大谷ですが、今年は高打率を維持し、三冠王も視野に入れるモンスターぶり。
で、リトルリーガー吉田なのですが、そのモンスターの次につける、なんと第4位! しかも、ひと頃は首位打者にも立っていました。なんとおそろしいリトルリーガーでしょうw
更には、そのリトルリーガーは現時点で45回のマルチヒットを記録しており、これは今年のメジャートップだそうです。更に更に、8試合連続マルチヒットという、あのイチローを超える日本人最長記録も達成しました。とんでもないリトルリーガーですw
ねぇ、そんな「リトルリーガー」吉田正尚、もう、大活躍ですね。
なにが「リトルリーガー」やねんw ビッグリーガーやないかいw
四番を「任される」?
で、その吉田選手なのですが、先日2試合連続で4番を打つことがありました。その時のスポーツニュースでのアナウンスなのですが、
「2試合連続で四番を任される吉田」
なんてなことを言ってました。
違うんですよ。メジャーでは四番は日本と違って「主砲」ではないんです。それは単純に「トップから数えて四番目のバッター」でしかないんです。
あ、先に言っておきますが「四番打者最強説」がダメ、ということを言いたいんじゃないんです。メジャーの現実を勉強していない、ということが言いたいんです。「四番打者最強説」については後述します。
話を戻します。実は(ってもったいぶるほどですらないけど)、もう長いことメジャーリーグでは「四番打者最強説」は採用されていません。90年代くらいからですかね、むしろ「三番打者最強説」が主流になっていた時期が長かったです。
例えば、かのスーパースター、僕も大好きなケン・グリフィーJrは主に三番を打っていました。更には、バリー・ボンズ。彼も三番でした。
理由は色々あるそうなのですが、三番だと一回から必ず打順が回るので、積極的に、攻めの姿勢で試合に望むことができるから「三番を打ちたい」という強打者が多かったそうです。
更には、一回からそのチームの最強打者が出てくるということで相手先発にプレッシャーを与えられるという利点もあります。しかも先発ピッチャーは誰しも初回は不安定ですからね。
なんでも、メジャー全体の得点率の高いイニングは一回だそうです。それはかのバーランダーですらそうらしいです。だから、最強打者三番説は、これは相手ピッチャーからすると嫌でしょうねー。
で、時代は進みセイバーメトリクスが幅を利かせる現代。その賛否はともかくも、セイバーメトリクス全盛ではあります。まぁ、僕は否ですが、それはここでは関係ないので置いといて。
セイバーメトリクスで言うと、今言った初回の得点率、逆に言うと失点率が高いので、相手ピッチャーが不安定なうちに良いバッターを並べて速攻で点を取ってしまおう、という考え方を採用し、2番に最強打者を置く風潮が支配的です。
実際、大谷は2番を打ってるし、トラウトが怪我する前はトラウトが2番を打ってました。確かジャッジも2番だったはず。
だから、吉田が4番を打ったからと言って、それは実は大したことじゃないんです。むしろ4番に「下げられた」と表現する方が当たってるような気はします(まぁ戦術上の意図もあるから、もちろん一概に「下げられた」と言い切ることはできないですが)。「2番打者最強説」を採用していることから考えると、日本で言うところの、大体6番あたりがメジャーの4番、って感覚じゃないでしょうか。
逆に、吉田はひと頃レッドソックスで一番打ってるバッターでしたので、2番を打つことも多いです。むしろ「吉田が2番を任された」で大きく報道するべきだし、その方が「正しい報道」なんですけどね。
だからニュース番組でメジャーの日本人選手が「四番を任された」は完全な間違いなのです。
もうちょっと日本のメディアには勉強してもらいたいものですよね。
最強打者はどの打順がいいのか
そんな感じで、相変わらず日本のメジャーリーグに関する情報は不勉強ゆえに嘘が多いのですが、じゃあやっぱり2番に最強打者を置くのがいいの?というと、個人的にはなんか違うような気がします。
思うに、2番最強は初回だけの話だと思うんですよね。基本的に打順っていうのは、良いバッターにより多くの打席を回したい。それで足が速いとか、打率が高いとか、一発があるとかいう各打者の特性も加味して組んでいくものだと思います。
だとすると、下位打線にはやはり力のないバッターが並ぶ、ということになります。つまり、2番を打つということは、その前の1番はいいとして、更にその前は9番、8番、或いは7番と下位打線が並ぶことになります。
これ、出塁率低いですよねw
せっかく2番に最強バッターを置いても、その前の打者が塁に出てくれない。だったら、やっぱり3番、そして4番に最強バッターを置く方が効率的だと思うんだけどなぁ。
実際、大谷なんか、そのホームランの数に比べて打点がちょっと伸び悩んでる感じはあると思います。もし、大谷が3番、もしくは4番にいたら、もっと打点は稼げてるんじゃないでしょうか。
それに、どうも実際全球団トータルで調べると、打点を上げている打順は4番が一番多く、次いで3番だそうです。
どうした?セイバーメトリクスwww
全然あかんやん!www
そんな感じでですね、最強打者をどこに置くか論については、やっぱり昔ながらの3番4番、いわゆるクリーンナップと呼ばれるところに置くのが良いのでは無かろうかと思います。
そして個人的には、初回から必ず対戦しなくちゃいけない相手投手の心理を考え、3番に最強打者を置くのが良いような気がします。その次に力のある打者は、やっぱり4番かな。