この間はYouTubeで「大怪獣ガメラ」が期間限定でアップされていたんですが、今回は「宇宙大怪獣ギララ」!
もちろん無料! すごい時代になりましたねぇ~。レンタルですらないという。無料ですよ! タダですよ! ダータですよ!
これも観たかった怪獣映画なので、当然の如く速攻で観てみました。
なんというか…、無駄に丁寧な作品、といった印象w
予告編
無駄に豪華
先ずはオープニングの歌ですね。今聴くとレトロお洒落感があって、良い曲だな、と思って思いました。そしたら音楽はいずみたく! いきなりの大御所! しかもEDの歌は倍賞千恵子! 大御所! 更に、後からWikiで調べたところ、作詞は永六輔! 極めつけの大御所! もう、無駄に豪華!
すごいですねー。さすが松竹! コネも金もある、といったところでしょうか。
また、劇中でもやたらパーティシーンとかがあったりしまして、こちらもなんとなくお洒落。瀟洒。
それから、これはまぁ、そういう時代だったんでしょうけども、出てくるの車のデザインもね、なんというかお洒落なんですねぇ。この時代の車のデザインは良いですね。今よりも断然良い。
今のデザイン…、と言っていつぐらいからかな?もう随分前からでしょうか、とにかく昨今の来るなデザインは、なんかのっぺりしてますよね。
まぁそんな感じでですね、全体的にどことなくお洒落で、そして豪華なイメージが散りばめられていました。
あと、出演者の中に藤岡弘、がいたんですねぇ(テロップには「、」はなかったけどw)! でも、最初観た時、よくわからなかったんですね。
だから後でWikiで調べてみたら、月基地の隊員でした。その場面をもう一回見てみたら、いた。ほんの少しのチョイ役という感じだったんですけど、ゲスト出演だったのでしょうか?
まだほっそりしていて、結構なイケメンでした。細面の隊員役、といった感じで、本郷猛のような猛々しさは微塵もなかったですねぇ。この人が後々、すげえ強面っぽくなると思うと感慨深い。竹内力のようです。
丁寧なSF描写
そして、本編に入ると、しばらくはSF描写が続くのですが、これがまた丁寧。なんでもWikiによると、その当時のSFの大家の人を考証に招いたらしいです。
ここらへんのSF描写の流れなんですけど、どことなく全体的に「イカリエX-B1」を彷彿とさせました。SFの大家がアドバイザーとして入っているなら、やはり影響はあるように思うですよねー。
また、火星探索用ロケットが途中立ち寄る月基地では、月で栽培したという食材を使った豪勢な食事があったり、檜のお風呂に浸かったり、SFという箱の中に日常的な内容物を入れ込むというのも、当時としては新しかったと思います(多分)。
今では割と当り前なそういった描写なのですが、そのアンバランスな面白さもあると思うし、SFという非日常的な舞台に日常、「生活」を持ち込むことで、物語中の人物たちに実存感というか、生命感というか、そういうものを与えられる要素のようにもなると思います。
そしてそれは後の、特にSFアニメの分野に受け継がれていったのでしょう。多分にこの映画を面白がったパロディだとも思いますが、実は効果的にそういう要素を狙ったようにも思います。
豪華で丁寧が仇となった?
ただ、そんな風にして豪華に丁寧に作られてはいるものの、残念ながら全体としては微妙な感じだし、物語としては、まぁ、正直雑でありました。
先ず、序盤の丁寧なSF描写が、丁寧な分だけかえって冗長になってしまっている感じですねぇ。かなりなマニア向けである、といったところでしょうか。観ていて、なるほど、とは思うんですけどねぇ…。いかんせん、冗長。
あと、途中からあるんだかないんだか微妙な恋愛要素を入れてきて、しかもそれを最後にさも重要な感じでリーザという女性隊員の台詞にブチ込んできたり、観客はなんだか置いてけぼりだったと思います。「ギララのおかげで気づいた」というのはあまりにも取って付けたセリフではないでしょうか。
更に、物語冒頭で目指していた火星には結局行かなかったばかりか、謎の円盤の正体もわからないままだったし、その円盤とギララとの関係性も最後までわかりませんでした。
そもそも、そういった謎要素が謎のまま終わったばかりか、主人公たちは何一つ当初の目的を達成できていません。途中で起こったトラブルを何とかやり過ごした、ということに過ぎないのではないか、という印象でしたねぇ。
怪獣
で、肝心要の怪獣なのですが、ギララのデザインは良かったですねぇ。前から思っていたことなんですが、なかなか良い。
既存の怪獣像を踏襲しつつも、エキセントリックな顔のデザインが施されており、なるほど宇宙怪獣だ、と思わせます。もちろんレトロフューチャーといった感じなのですが、その感じもまた良いんですよねー。
ただ、です。怪獣シーンが良くなかった…。ギララの動きはホントに着ぐるみ着たおっさんそのものだったんですよね…。ビルの感じも、なんかもちゃちだし。とても怪獣「映画」のそれとは思えませんでした。特撮TVシリーズくらいのクォリティでしたかねぇ。
そんな感じで、割と丁寧に作っているものの、肝心なところが抜けており、力の入れどころが逆なんじゃないか、と思う映画でした。
いや、どうせなら全部に力を入れていれば、もっと評価の高い特撮映画になったんじゃないか、と思ったりもします。