侍ジャパン日本代表、WBC優勝おめでとうございます!
いやあ、すごい大会でしたねー! 盛り上がった盛り上がった!
前回の記事でギータが出なくて今一つ乗っていけない…、みたいなことを書いて、まぁ個人的には事実そういった側面もあったんですが、そうは言っても僕も盛り上がりました!
それに全勝ですよ。すげえなぁ…。
そしてまた、日本は通算3回目の優勝ということで、優勝回数は現在のところブッちぎりですね。素晴らしい。
それまでの二回はイチロー、今回は大谷と、やはり優勝するにはメジャーのスーパースターが必要なのかな、とちょっと思ってしまいました。
あと第一回の時は王さんが監督をされてましたね。それを思うと、世界一になるには世界の頂を見た人が必要というか、一番になるべき人がなるのだなぁ、とそう思ったりもします。
それにしても、前回の二回の優勝も大変に盛り上がった素晴らしい優勝でしたが、今回の優勝はなんというか、さわやかさがありましたよね。
日本ラウンドのチェコ戦なんかは特にそういった印象を観た人に与えたと思うし、決勝のアメリカ戦にしても、終わった後に、得も言われぬさわやかさを感じました。相手が違うとこうも違うか、という感じでw
やはり国際大会はこうあるべきですよね。
そんな感じで、今回は備忘録的に決勝戦をざっと振り返ってみようかと思います。
決勝の相手はドリームチーム!
決勝戦の相手はアメリカでしたねぇ。まさに頂上決戦! 決勝の相手にふさわしいし、おそらく多くの日本人がWBCの決勝で見たかったカードではないでしょうか。
それに、個人的にも最も対戦が見たかったカードでもあります。アメリカは大谷が9人並んでいるようなとんでもない打線でしたからね。まさにドリームチーム!
こういう相手に日本がどう立ち向かっていくのか、もうホントねぇ、負けでもいいから見たい!くらい思ってましたから。勝ちましたけど。それに選手は負けることなんてミリも考えてなかったと思うけど。
そして試合の方はと言いますと、先制はアメリカ。今大会絶好調のトレア・ターナーに先発今永が一発を浴びてしまいました。
しかし、その裏です。すぐに村上がソロホームランを打ち返すというアツい展開。しかも、アッパーデッキにまで届く大ホームラン!
今大会村上は不振を極めてましたが(それでも不調なりに打点を上げたり、四球で繋いだりしてたのはさすが)、準決勝メキシコ戦の逆転サヨナラツーベース以来、完全に調子を取り戻した感じ。
更に日本はアメリカを攻め立て、ヌートバーのファーストゴロの間に1点取って逆転! こういう、いわゆるイージーランって、やっぱり重要ですよね。やはり今大会、ヌートバーが効いていたと思います。
それにしても日本の投手陣すごかった! あの超絶強力打線を相手に得点を許さないんですから。これにはびっくりした! 燃えた! 平気で三振取ったりしてるし、焦ったり動揺したりする素振りもない。
一方のアメリカ投手陣。超強力打線に比べると見劣りするとかいう前情報もありましたが、選手のプロフィールを見ると、防御率1点台だったり、クローザーだったり、そして実際に投球見てみたら、すげえ球放ってて、良い投手ばっか。嘘じゃん。強ぇじゃん。
そんな両チーム強力投手陣なので、なかなか点が入らず、ロースコアの展開。しかし、そんな状況の中、ここ数試合絶好調の岡本がレフトへソロホームランを叩きこんで加点! この1点が効果的だし、後々大きかったんですよね。
そして8回、ダルビッシュがマウンドへ。今大会不調なので心配だったのですが、悪い予感は残念ながら的中…。去年のナ・リーグ本塁打王、カイル・シュワーバーにソロを浴びてしまいます。村上と同じようなアッパーデッキにまで届く大ホームラン。
しかし、それを思うと、シュワーバーと変わらない飛距離だった村上の凄さをかえって感じてしまいました。
ただ、ダルビッシュはこの一点で凌ぎます。そういったところはさすがですね。
そして1点差で9回へ。
大勢じゃない?!
9回のマウンドに上がったのは、なんと大谷!
しかも、ダルビッシュからのバトンタッチという、あまりにも出来すぎた展開!
しかし、ちょっと疑問にも思いました。
というのも、普通に考えたら今大会の抑えを任されたのは、多分大勢だったと思うんですよね。
この「多分」というのは、予選リーグでは最後に登板していたわけではなかったから。ただ、準々決勝、準決勝という、いわば「本番」では最後のマウンドを託されたのは大勢だったので、多分大勢が今回のチームのクローザーだったと思うんですよね。
だから、定石で言えば、9回は大勢だったはずです。
でも、その大勢は7回に登板していました。
抑えの投手は「おまえしかいない!」という絶対の信頼を与えて送り出す投手です。そういうチームとの信頼関係がないとできないポジションでもあると思います。それほどまでに、最後の9回のマウンドというのは重みが違う、という話を聞いたことがあります。
かつて江夏は、あの伝説の21球の時、古葉監督が北別府をブルペンに走らせた時、怒りを感じたと言います。なぜ俺を信頼してくれないのか、と。
それほどまでに、クローザーというポジションは繊細で、何より意気に感じることが大事なポジションなのです。
前回WBCで優勝した時、本来は先発ピッチャーだったダルビッシュが抑えに回りましたが、あの時は藤川が絶不調で切羽詰った状況だったという事情があります。
しかし、今回はそういう事情はありません。大勢の調子は悪くありませんでした。
そういう状況を思うと、大勢の心情はいかばかりかと、ちょっと疑問に思います。
それに、9回大谷はまだしも、8回は今大会不調のダルビッシュ。采配的にも疑問を感じます。
これは多分、ダルビッシュー大谷という伝説を、栗山監督が作りたかったから、なのだろうと思います。
ダルビッシュと大谷は、栗山監督が手塩にかけて育てた投手です。その二人を重視するあまり、大勢はないがしろにした、そういう風な側面はなかったとは言えないと思います。栗山監督のエゴが出たというか。
しかし、より広い見方もあると思います。
球界の演出家
前回最後のマウンドに立った投手にしてメジャーでもスターのダルビッシュから、今大会二刀流でチームは元より大会全体までも盛り上げた、今やメジャーのスーパースター大谷へ。
打者でも大活躍して、投手として最後の優勝の瞬間を迎える。
これホント、よく言われてるけど漫画ですよ。
そういう、現実には起こりえない、漫画だとベタすぎてやらない、そんなことができる人材がいて、そして舞台は整っている。これを逃さない手はないですよ。
プロはお客さんの夢に応えてナンボの世界。お客さんが夢を見るのなら、その夢を実現させるのがプロの選手ってもんです。そして、その状況を整えてあげるのが監督なりスタッフです。
そういうのが上手かったのが仰木監督でした。かつてはオールスターでイチローを登板させたり。しかも相手は松井秀喜。実は投手・イチローと打者・松井の対戦のチャンスは二人が高校の時に二回あったらしいですね。しかしいずれも実現せず。しかし、共に大打者となったオールスター戦。松井は「こんな形で実現するとはなあ」と思ったそうです。しかし代打を送られてしまいましたが…。もし実現していたら、高校の時に対戦できなかった二人の大打者がプロの、しかもオールスターの大舞台で三度目の正直の対戦となった、というドラマが出来上がっていたのです。
そういう演出って大事ですよね。栗山監督はそういう演出の大事さをよくわかっている監督なんだと思います。プロ意識が高いんですよね。お客さんが何を見たいのか、それを常に考え、そして実行に移すことができる。
栗山監督も、仰木監督同様、「球界の演出家」なのかもしれません。
しかし、現実は時に、そういう演出も越えてくるのです。
伝説の9回
1点差の9回のマウンドに立った大谷。最初のバッターを四球で出してしまいます。ちょっと嫌な雰囲気になりましたが、続くムーキー・ベッツを注文通りのセカンドゴロゲッツー! これが大きかった。あまりにも大きすぎた。
そして最後の打者はなんとマイク・トラウト!
あまりにも出来すぎていますが、これは意図のない巡り合わせです。こんなことが起こるんですねー!
9回大谷は決めてたとして、まさか最後の打者がトラウトになるとは思わないでしょう! これにはさすがの栗山監督もビックリだったのではないでしょうか。
大谷とトラウトと言えば、メジャー全体でもツートップの大スター。しかも、エンジェルスの2番と3番にして(メジャーではそのチームの最強打者は4番ではなく、2番、次いで3番という順番です)、言ってみれば、ONみたいなものです。
だから、大谷とトラウトの対戦ともなれば、それはそれはもう夢の対決なのですが、同じチームです。普段なら決して相対することはありません。
しかしここはWBC。こうして対戦相手として初めて、相対することができました。
しかも決勝戦! しかもしかも、一発出れば同点という9回表2アウト! この場面ですよ! ここで相対するんですから、これ以上の場面もないでしょう!
大谷は明らかにトラウトに対して野球で喧嘩を売っていましたよね。それに対して、トラウトは当てに行くことなどまるで考えない、フルスイングで受けて立っていました。シビれた。
そして大谷の方も、アホみたいなストレート一本やりの勝負ではなくて、得意な変化球もちゃんと交えた、自分の能力をフルに使って勝負した、まさにフルコンタクトのガチンコ対決。
そしてまた勝負はスリーツーまで行くんですよねー。この9回2アウトでフルカウントまで行くというのもまた良いじゃあないですか。
最後は大谷のスライダーをトラウトがフルスイングして三振。あまりにも出来すぎた優勝でした。
思えば、大リーグに追いつけ追い越せで始まったプロ野球。かつてWBCでもオリンピックでも日米野球でも、日本がアメリカに勝ったことは何度かあります。しかし、この日のこの瞬間こそが、本当に「大リーグに追いつけ追い越せ」が叶った瞬間だったのだと思います。
アメリカも日本も、ほぼフルメンバーで揃え、WBCの決勝で相見えて、ガチの勝負で、そこで勝ったのですから。
そしてMVPは大谷。ついでに大会ベストナインの指名打者部門と投手部門も大谷。
あまりにも出来すぎている!
そしてこの試合も前日の準決勝に続いて逆転勝ち。逆転勝ちとは力勝ちである。しかも、僅差の中でのホームランの打ち合いを制しました。日本の野球は本当に随分と強くなったのだなぁ、という印象でした。
本当に侍ジャパン、日本代表のみなさん、素晴らしかった&おめでとうございます!
おまけ
そんなわけで、まさに大団円、完璧なWBCだったと思いますが、ま、でもね、正直「もっとこうだったら良かったのになー」というのが何にもないわけじゃないです。観客はわがままですからね。当然僕もわがままです。
やっぱねー、何が不満(というには大げさだけど)だったかというと、やっぱりアメリカvsドミニカが観たかった! ドミニカはアメリカ以上にすごいとも言われてましたからね。実はアメリカを抑えて優勝候補筆頭なんて見方も多かったです。
やっぱ、この2チームの対戦は観たかったですねー。これは全野球ファンの夢だったのではないでしょうか。ドリームチーム対ドリームチーム。これは悔しかったですね。
あとは、だから日本vsドミニカ!www そりゃ観たいですよwww これもねー、負けてもいいから観たかった! アメリカ戦と同じくらいヒリヒリした名勝負になったんじゃないでしょうかねー。
それに、言っちゃうと、実は一番つまんなかったのは、ひょっとしたらプールBだったですかねwww
もちろん、主観的にはプールB面白かったですよ。結果だけ見たら日本の快勝だったけど、つぶさに見ていくと結構相手もそれぞれに強かったですからね。大谷とか、佐々木とか、ダルビッシュとか、ヌートバーとか、魅力的な選手もたくさんいたし、何よりめちゃめちゃ応援してましたから。
でも、客観的に第三者的に見ると、まぁ、あんまり面白くはなかったのかもしれません。あぁ、あそこのプールは日本圧勝でしょ?ってな具合で(それもまた嬉しいですが)。
一方、プールAはまさかの全チーム2勝2敗で並ぶという大混戦! これは観てて面白かったんじゃないですかねー。
でも、なんつっても今回面白かったのは圧倒的にプールC、Dでしょうね! もう、強豪ばかり。特にDはマジでヤバかったですよね。だって、ドミニカが突破できなかったんですよ! 毎試合毎試合事実上の決勝戦でしたもん。エグいメジャーリーガーばっかりだったし。
だから、そろそろWBCも地域毎に予選やるんじゃなくて、FIFAワールドカップみたいに、どっか一つの国に参加国集めて、くじ引きで予選グループ作って、ていう段階に入ってきたんじゃないですかね。
今回観て、明らかにWBCという大会は成長してるなー、って思いましたからねー。