春のアニメが始まりましたが、やっぱ「SPYxFAMILY」が一番面白いかもしれませんね。
スパイの妻が殺し屋で、娘がエスパーという、すごい家族!
しかも、スパイの夫と殺し屋の妻はそれぞれの正体がわからず、娘はエスパーだから二人の正体を知っている、という、いわば子供という一番弱い立場の人間が事態を一番把握してる、っていうのもミソ。
更に、この三人、全員血が繋がっていない他人同士というのがまたスリリング。
19世紀の西洋的世界観もレトロな感じですごく良いし、OPとEDも豪華だし(それにオシャレだし)、やっぱこのアニメが今季の覇権アニメになるんでしょうかね。
第一話感想
もう、スパイが任務のために急っそいで子供作るってだけでも楽しいのに、その子供がよりによってエスパーってのがまたw
どんだけ盛り込むんだw
もう、スパイの考えが全部筒抜け。
それで、大体こういう場合、この子供は頭が良い秀才的な奴なんだけど、割とアホの子なんですよね。それがまたかえって面白い。
でもこのスパイ、最初はこの子のことを割と疎ましく思っていて、どーすっかなー、って感じだったんですけど、この子が誘拐されちゃった時に(自業自得)「子供が泣かないで済む世界を作る」という大志をもってスパイになったことがわかるんですね。
このスパイ、子供の頃は相当苦労したそうで、それが原体験となって、スパイを志したんだそう。
そういう動機もこの主人公のスパイに感情移入できる大きな要素ですよね。そこをちゃんと抑えているところが上手い。
でも、最初はその大志を忘れちゃっていて…(それはそれで問題だが)。
疎ましく思っていたはずの子供を最終的には受け入れていく、というのがベタながらやはり上手いし面白い。
そして次回は母親が必要になってくる。それも受験のための三者面談という極めて俗世間的な理由なのも良いですねー。
主役のスパイの超優秀な感じも、子供に振り回されるギャップの、良いスパイスとなっていて、全てに渡って面白さのツボがよく抑えられている感じ。
第二話感想
今回は「母親役」の人が見つかる、という回。これで一旦家族は勢揃い。しかしその母親は殺し屋である。スパイの娘が超能力者で、妻が殺し屋。すごい話ですねー。
やっぱり、娘がエスパーってのが何より効いてますね。父と母の心の内を全部知ってるというのがポイント。その上で何も言わず、ある意味自分の「楽しい」という欲望に忠実に生きてるのが実は小悪魔的。
また、仕立て屋前のガラスに父と母が会話してる時、ガラスに二人が映っている、ってのが芸が細かい。二人とも嘘をついている、その二重性を表しているんでしょうね。
そしてまた、この殺し屋のキャラが良い! 女性殺し屋というと、大体において、ツンケンしている、我が強い、何でもできちゃうしっかり者、というのがパターンな気がしますが、この母はどちらかというと天然で、非常におっとりとした性格なんですね。
そのギャップ性もまた良いんですよねー。しかも、年の離れた弟のため、というのがほとんどの彼女の行動原理。そういった「やさしさ」みたいなものも持っているのが、感情移入できる大きなポイントです。
しかも、世を忍ぶ仮の姿のOLの時は同僚のいじめらしきものに遭っているというのも、視聴者の同情を引くポイントではないでしょうか。
また、スパイを気に入った時の演出も良いんですよねー。スパイや殺し屋というと、エンタメ的には派手なイメージがあるけど、実は人知れず国のために汚れ仕事をするという、実に日の目を見ない仕事なんですよね。
その、縁の下の力持ち的な側面をスパイは評価し(母は夫がスパイであることを知らないので、「一般の人」に誉められたと思っている)、そのことで、自分のやってきたことは間違いじゃない、と気づけたのかもしれません。
初めて自分の人生を肯定してくれた人が、このスパイだったのだと思います。まぁ、殺し屋が是か非かといったら、それはまた別の話なんですけども。
また、結婚指輪代わりに手榴弾のピンを指にはめる演出も「らしく」て良いですねー。粋と言うには怖すぎですがw
第三話感想
家族が揃い、今回からが本格的にシチュエーションコメディがスタート、といったところ。もちろん、正確に言うとシチュエーションコメディではないんですけど、どことなくアメリカのシチュエーションコメディ的な雰囲気があると思うんですよね。
で、多分、この家族のツッコミ役がスパイなのでしょう。他の二人はそれぞれに世間とズレまくっていて面白い。
名門小学校の面接試験のため、そんなズレてる二人に情操教育を施そうとスパイはするのですが、やはり今ひとつズレてるし、うまくいかない。
そんな中、妻役の殺し屋がひったくりに遭ったお婆さんを助けようとします。スパイ、そしてエスパーも協力。無事、最後はひったくりを捕まえます。
最後にお婆さんは手を取ってスパイに感謝の意を示します。スパイは、思い返せば、陰に生きるため、どんなに困難な任務を成功させても人から感謝されることのない人生でした。そんなスパイが、多分、初めて感謝され、少し、感動してしまったようです。
夫役のスパイが母役の殺し屋に向かって「良い気分転換になった」と微笑んだセリフは、半分嘘で半分本心という、実に絶妙なダブルミーニングでした。
嘘は、偽の夫としてのセリフ。
本心は、感謝されたことに感動したこと。
文字通り、陰の生活から束の間表に出た、そして感謝された、人として心が洗われた、という点では本心だけど、そんなことは家族の前では言えない。だから、単に休日を楽しんだ、という意味で本心を隠した。そんな粋なセリフであったと思います。