ロド日記

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僕がお金を支払ってもいないものに対して言いたい放題言わせてもらおう、という割と身勝手なブログです。

「バック・アロウ」ネタバレ有り感想。スケールが小さくて大きな物語!!

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夏のアニメがいよいよはじまりましたねー。

ついでに、このブログもはじまりました。

えー、新しくブログを作りました。このブログのコンセプトについてはaboutに書きましたので、是非ご覧ください。よろしくです!

rodriguez.hatenablog.com
というわけで早速、この記事についてなんですけども、新ブログ開設第一回目の今回は先ず、TVアニメの感想です。

夏のアニメがはじまる、ということは春のアニメはそれぞれに大団円を迎えたわけです。

僕も春のアニメは結構観まくっててですね、いや、すごかったですね、2021年の春アニメ。

ここまで重量級の作品が、これだけの数揃ったのって、初めてじゃないですか?ひょっとして? いや、わかんねーけどw

で、ですね、その総括というわけではないんですが、個人的な感想を書き連ねたいと思います。

分析とか、解説とか、深読みとか、一切ありません。ここに書いてあるのは俺の超個人的な感想です。ネタバレありまくりです。

なので、「あー、こいつはこんな風に感じたんだな」と思いつつ、読んでいただければ嬉しいかな、と。

というわけで、第一回目は「バック・アロウ」です!

いやぁ、面白かったあー。

さすが中島かずき

www.youtube.com

壁の中の三国志というコンセプト

先ずはですねー、そのコンセプトですね。世界観というか。これに、最初グッと掴まれましたねー。

「壁に囲まれた世界、リンガ・リンド」

世界が壁に囲まれちゃってるんですよ! その狭い世界観!

っくー! 燃える。

そして、その壁が「神」だっつーんですね。壁が世界を育み、守る、という。

視聴者としては「そんなわけねーだろ」と思うんですけどもw いきなり怪しいですからね。

でも、リンガ・リンドに住んでいる人たちからすれば、それが「常識」なんですね。言ってみれば、地球は球体で、太陽の周りを周っていて…、という感じ。

それを疑う奴は頭おかしいんじゃねーか、っていうか、なんせ壁は神ですから、バチ当たりっていう風にまでなっちゃうんですね。

この感じは、多分「天動説」を模しているんじゃないかなー、と思うんですけど、どうでしょうか?

で、そんな感じでその世界では曲がりなりにも、まぁ、安定的な生活が営まれていたのですが、その世界に壁の向こうから人がやってくるんですね。

これはもう、リンガ・リンドに住んでいる人からすれば、もうとんでもないことで、むしろ、大問題というか、あってはならないことだったんでしょうね。

そこから物語は始まるわけなんですから、これはもう興味津々以外の感情は持てません!(言い切ってみた)

そんな感じでですね、俺的には非常に魅力的な世界観だったんですね。

で、そんな閉じられた世界にしてはなかなかのオーバーテクノロジー。使ってる道具なんかも割とスターウォーズじみていたりします。

科学で鳴らすリュート卿和国(注:共和国ではありません)はまだしも、脳筋で勢力を拡大するレッカ凱帝国の科学力もなかなかのものです。

そう、この閉じられた世界は科学のリュート脳筋のレッカという二つの超大国で二分されているのです。

レッカは明らかに古代中国で、リュートは中世のヨーロッパ(どこの国かはわからん)といったところ。

で、その二つの超大国の間で、両国の顔色を伺いながら立ち居振る舞いにあたふたしているのがイキ合愁国(合『愁』国って…)、これはもう完全に西部開拓期のアメリカなんですけど…。

これ、日本じゃね?

外側はアメリカだけど、どー考えも中身は日本でしょ、これ?w

まぁ、それはいいとして、このレッカの古代中国感というのは、作品の初期コンセプトが濃厚に残っている感じでしょうか。

GYAO!のオーディオコメンタリー付きの動画を観たんですけど、そこで脚本の中島かずき氏が「壁の中の三国志」ということを初期の段階で考えていたそうです。

「壁の中の三国志」…。燃える!

三国志、観たことねーけど。(いつか観なくては、と思っている作品群の一角)

科学力と言えば、壁の向こうから月に一度何か送られてくるんですね。ラクホウっていうんですけど。

これを現地の人々は神からの贈り物みたいな感じで有り難がってるんですけど、このラクホウ、どう考えてもデザイン的に明らかに人口物。自然のものではありません。かなりの科学力を「壁の向こう」は保持してる感じです。

そして、さっき言った壁の向こうから来た人は、このラクホウに乗ってやってきます。

全裸で。

すごいですねぇ。しかも、記憶がないんですね。それがこの物語の主人公、バッキャロウ(馬鹿野郎)のバック・アロウです。

このバック・アロウ、記憶がないもんだから、壁の向こうに戻って記憶を取り戻す、って言うんですね。

そして、どこの世界にも信仰心のない者はいるもんで、脳筋レッカに生まれたくせにこの世界一番の天才・シュウは壁の向こうの世界を見てみたい、と壁の向こうを目指すアロウと合流するんです。

そしてこの二人が中心になって、壁の向こうの世界を目指す、という三国志と言いつつもフロンティアな物語が始まるのです。

っくー! 燃える。

意表を突きすぎる展開

そんな感じで最終回まで全2クール、突っ走ったアニメなんですけど、もう、全編意表を突きすぎる展開です!

さっきも言ったように、のっけから、第一話にして主役がパンツを履いてないですからねぇ。梶裕貴が声あててるのに。その一話分はまるまる全裸です。

さすがは「キルラキル」の中島かずきです。チ○コブラブラです。おいなりさんもですね。うまい具合に隠れてましたけどね。これが「銀魂」だったら間違いなくモザイク処理でしょう。

他にも色々ありました。美少年牧場があったりね。美少年牧場ですよ! もう一度言います。

美少年牧場。

ものすごい字面ですね。コンプラ的には大丈夫なんか?と思いますが…大丈夫なんでしょうか?(^^;; まぁ、キッチリ放送されましたから大丈夫なんでしょう! 大丈夫です! ええ!

しかし、字面的に強く、しかもキラキラ粒子を撒き散らす美少年しかいない牧場ですが、イキ合愁国の人体実験のための施設だった、という、ひょっとしたらこの物語一番の重い話でもありました。

一見フザけてるようなエピソードですが、そうではないというこのダイナミズム。素晴らしいです。

あとは、リュートのお姫様が外交手段にお風呂を使い、相手と全裸で洗いっこしてお互いをわかり合うという手法を用いたり(さすが「キルラキル」の中島かずきです)、そのお姫様が二重人格で、裏の顔はレディースそのものだったり。

あるいは最終盤ではシュウがいきなりの退場か、と思いきや翌週復活。しかも身の丈20メートルはあろうかという巨体で再登場したり。

そして主役であるアロウが、実は神から遣わされた、この閉じられた世界の破壊者だったり。

この「(物語的に)正義の味方」かと思いきや「(物語的に)悪の手先」だった、という逆転の発想は「海のトリトン」とか「ノンマルトの使者」みたいです(いずれも例えが古いですが)。

そして、アロウがそのことに悩むんですよね。それでも、その力に抗えず、心ならずも虐殺を繰り返す感じが、なんとも痛々しく、いたたまれません。

そんな感じでね、もう、予想の上を行きまくったアニメで、それが最後の最後まで続く、すごいアニメでしたね。

最後なんかは特にね、「えー! そうだったん?!」という、もう、何て言ったらいいんでしょ? すごかったです(←語彙力)。

主役が主役じゃなくなる

それからですねー、各々のキャラが濃すぎました。

結構エピソード的には主役が完全に食われるどころじゃないです。主役完全交代してました。

最初、シュウの親友であるカイって奴が登場するんですけど、最初はこいつとシュウが主役側なんだろうな、って思っていたら、このカイ、どちらかというと終盤までは、敵方でしたからね。ここも意表を突かれたポイントなんですけど。

でもこのカイ、割と「俺は主役だ!」ってツラしてるんですよ。ブライハイトも赤だし(赤は主役の色)。

あ、ちなみにこのブライハイトっていうのはですねー、先ずはラクホウについて話した方がいいですね。

ラクホウって、その中に入っているのはバインドワッパーって輪っかなんですよ。多分金属製の。

で、そのバインドワッパーを左の上腕二頭筋のところに装着すると、その装着した人の信念が巨大ロボットになるんです。それがブライハイトです。

もうホントよくわけわかんないロボットですね。さすが中島かずき

他にもですね、レッカの王様であらせられるゼツ・ダイダン(すごい名前だ)っていうおじいちゃんなんですけど、このご老人が設定的にはリンガ・リンド最強なんですね。

回によってはこの人が完全に主役でしたもん。アロウがこの老人の武器になっちゃったりして。武器ですよ、武器。主役がおじいちゃんの武器になるんですよ。

それもう主役じゃねーよw

そんな感じで主役が完全交代するのですが、勢い余ってこのおじいちゃん、若返ります。しかもイケメン。昔風ですけどね。任侠映画に出てきそうな感じ。

キャラで言うと、ビットっていうかなり情けない感じの男の子が出てくるのですが。見た目はね、可愛らしくて、ジャニーズ系と言って言えなくもない。

でも、とんでもなく情けなくて弱いんですけど、よくよく考えてみると、彼の感覚は割と普通なんです。このアニメ観ている我々視聴者と同じ。

だから、言ってみれば視聴者代表なんですね。その代表が物語の中に入って、異常に強い奴らばかりの世界でなんとか頑張ってる。

彼が架空の世界と我々を結ぶ架け橋になってくれている感じなんですね。

彼を通して、登場人物たちに、ま、言ってみれば、触れることができる。

やっぱり、ビットみたいな人は、こういう強さのインフレが起こっている作品には必要なんだと思います。

そんなビットが最後の最後に大活躍して、最終話では主役のアロウに「お前、ホントすげえな」って真顔で言われる、ってのは、非常にカタルシスがあります。

声優の使い方がおかしい

で、このアニメ、声優がマジで豪華で。聞き応え、という点でも良かったと思います。

主役は梶裕貴だし、シュウは杉田智和だし、その他にも挙げていったらきりがないくらい、豪華なメンバーが揃っています。

中でもお姫様ですね。フィーネ・フォルテっていうんですけどね。

このお姫様が二重人格ってのはさっきも言ったんですけど、この世は愛が全てとか歯の浮くようなセリフを臆面もなく宣う、周りの人がちょっと困る感じの人で。

「愛こそはすべて」って言っていいのはビートルズだけですからね。

怪しいな、とは思ったんですけど、やはり怪しかったですね。さすが中島かずき。事情があるとはいえ、裏の人格はレディース。こわいです。

で、この役を一人二役で声優さんは演じるんですけど、演じるのは小清水亜美。「キルラキル」ではバンカラ女子にして主役・纏流子を演じていました。

やはりこの「ヤンキー感」を出せるのは小清水亜美しかいないでしょお! この作品でも、めちゃカッコよかったです。

そして、フィーネの時とは全然違う! 同じ人の声とは思えないもん。やっぱ、一流の声優ってすげえなぁ。

ちなみに、ヤンキーの時のフィーネはフィノワールという。「夜のフィーネ」って感じでしょうか。また苗字のフォルテはイタリア語で確か「強い」。実は名前からしてヤンキー感はあったんですね。

あとですねー、声優の使い方がおかしい(^^;;

先ずは、千葉繁。もう、言わずと知れた、というか、その筋の人で知らぬ者のいない、今更説明の必要すらない重鎮声優です。

この千葉繁が声をあてているのが、リュートの名もなき肉屋さん。

なんか、いかにもモブという風体のおっさんなんですけど、千葉繁が声をあててるんだから何やら重要な役どころなのだろう、と待ち構えていたら、モブのまま悲しく退場となりました。

えー!

って思いましたよ、そりゃあ。だって、千葉繁だぜ?って。この使い方はないだろー。豪華、っつーか、無駄使い感がある…。

「ハイスクール奇面組」の大ファンだった俺としては悲しすぎるぞ!

そしてもう一人。櫻井孝宏です。

もう、この方はもう今が旬なハイパー超人気声優です。この方も、もう説明いらないですね。僕も大好きな声優さんです。

で、櫻井孝宏なんですけど、アロウたちがいよいよ壁の向こうのエビタフ山に来た時、リンド教団の教祖、という役どころでした。

おお! ここからまた新たな重要登場人物がっ! と思いきや、実はそれまでにもさんざん出ていたディゾナンザという、まぁ神の使い的な登場人物が一時的に変身していた姿で、回をまたいでの登場だったものの、出演時間は正味五分くらいでしたかねぇ。

えー!

って思いましたよ、そりゃあ。だって、櫻井孝宏だぜ?って。この使い方はないだろー。豪華、っつーか、無駄使い感がある…。

なんなんでしょうね。まぁ、確かに豪華感はありましたが、無駄遣い感の方が上回っていたような。

まぁ……そんな感じで……豪華声優陣のアニメです。

スケールが小さくて大きい世界

最終回はね、もちろん、それまでのメインキャラ総出のお祭り的共闘で、非常に盛り上がりましたね。これぞザ・最終回という感じで。

で、まぁ、結論から言ってしまうと、「言ってることは敵の方が正しい」っていう感じだったんですね。これもまた「海のトリトン」とか「ノンマルトの使者」みたいな感じですね(いずれも例えが古いですが)。

ただまぁ、でも、どちらかというと、今回の「主人公側の方が間違い」というコンセプトは「グレンラガン」を彷彿とさせましたねー。

完全に主人公側が悪い、ってんじゃなくて、「そりゃあ、お前らの言う事の方が正しいかもしれねぇけどヨォ」という感じ。こっちにも事情がある、というか。

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でも、最後はその敵ごと、というより敵の向こうまで救おう、という感じでしたねー。ここらへんは中島かずきの成長なのでしょうか。

どういうことかと言うと、先ず、リンガ・リンドの「リンド」というのは、いくつもある世界の一つ、言ってみればパラレルワールドのことなんですね。で、そのリンドの一つだから「リンガ・リンド」。他にも「~・リンド」というのが無数にあります。

言ってみれば宇宙ですね。多分、宇宙、それはユニバースというよりはマルチバースといった感じだと思うんですけど(勘で言ってます)、そういうのを模したのがリンドを含む、いわば「神の世界」なんでしょう。

そして、その「神の世界」は、まさかの、まさかまさかの、人体生命維持装置だった、というまさかまさかまさかの大展開!

これには意表を突かれた。どんだけ意表を突きゃあ気が済むんだ、中島かずき

宇宙船団でたった一人生き残った赤ん坊を、救助が来るまで生かし続けるための装置だったんです。

だから、壁の外に出るとか、そんなことしちゃダメなんです。

で、この世界観、なんとなく、この世はサナダムシの腹の中、という「パンク侍斬られて候」を思い出してしまいました。まぁ、それは余談ですが。

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でね、この赤ちゃんについて、誰か登場人物が「高貴の生まれの者か?」と問うんです。もちろん、それについては劇中ではわからなかったんですけど。

でも、個人的には、できれば、高貴の生まれなんかじゃない、ごく普通の子供であって欲しいです。

生まれの貴賎など関係なく、子供だから大事にする、というのがなんか尊い気がするんです。

で、ちょっと脱線しましたが、そんな風に、世界観的には小さくも大きな世界で、そのダイナミズムがもう、ホントさすがという感じで。

そして最後は、アロウがその赤ちゃんを救出する、と大見得を切るんですね。壁の外のそのまた外の世界をも動かそうという、小さいスケールの大きすぎる話になっていくんです。

大鏡を更に拡大して、その小さな世界から世界を変えるという、とんでもない物語ですよね。

そして、物語の最後の最後、一番のラストはまさかまさかの、と言いつつ、最終回を見ている間に薄々気付いていた、太陽系第三惑星地球に向けての旅へ。そこで地球に繋がるか!

壁の中の世界という完全架空の世界が、現実世界に繋がるとは思わなかったです。

で、そういう生命維持装置はどんな仕組みでできているのか、一切説明しないところがさすがです、中島かずき

そんな感じでですね、めちゃめちゃ面白いアニメでした。